SOCIAL ENERGYをご契約いただいている応援者の皆さま、こんにちは、SOCIAL ENERGYの中の人、いえとみです。
「百聞は一見に如かず」を合言葉に、全国津々浦々SOCIAL ENERGYローカルパートナーの現場を訪ね歩き、取り組みの手触りをお届けしていくシリーズ“ローカルパートナー訪問記”スタートです。今回お邪魔した先は【子どもと若者の図書館DENKI】さん。NPO法人プラットファームさんが運営されています。
横須賀線・衣笠駅徒歩1分図書館は本当に徒歩1分...?!
子どもと若者の図書館DENKIさんが運営されている私設図書館は、「衣笠駅から徒歩1分の図書館」ということから、通称“キヌイチ”と呼ばれています。はてさて本当に1分なのか?と半信半疑で横須賀線に揺られながら最寄駅衣笠駅を目指します。到着するやいなや辺りをキョロキョロ見渡し、Google Mapを頼りに指示された方向の先には、駅前のちょっとした賑わう通りと、その先に突き当たる大きなマンションが。
あたりには放課後らしき子ども達が遊んでいて、「子どもと若者の図書館」と名付けられているからには、この子ども達が図書館の利用者では?と想像をしながら横を通りすぎ、そうこうしているうちに駅の裏手の閑静なエリアにあっという間に到着しました。いやはや本当に徒歩1分ではないかと感心しながら拠点となる場所を目の前にします。
温かみのある木造建築が迎えてくれ、扉を開け中へ進み階段を登ると「カンカンカン……。」鉄製の階段の優しい音が響きます。階段を登り切ると『子どもと若者の図書館』と書かれた看板、そして長い廊下が現れました。
長い廊下は共用廊下で複数の部屋が一列に並びます。一番手前側が“キヌイチ”こと「衣笠駅徒歩1分図書館」です。
図書館のある部屋と、その他にもう一部屋を打ち合わせや作業など多目的に使える場所として借りられているそうです。
温かみのある木造の図書館で感じる優しさ
初めての訪問かつ、初めて運営者の北川さんにお会いできた事もあり、まずはご挨拶をしつつ図書館内を少しずつ見ていきます。私設図書館とはどんなものなのだろうか……、と興味深く室内を見渡すと、部屋の各所に色んなジャンルの本が並んでいました。
子ども向けと思いきや大人にも響く本の数々。利用される人は子どもに限らず大人の方も多いとか。もともと押入れだったであろう場所の下段は、子どもたちにとっては秘密基地の様な心地良さそうな空間に仕立てられています。
並べられた本の間や隙間には、持ち帰り自由な物がさりげなく、そっと置かれたりしているのが印象的です。
一通り見学したタイミングで、代表の北川さんに日々のキヌイチの様子について伺います。
関わりたいと思った人の選択肢を増やしたい
いえとみ:とても居心地の良い場所ですね。すっかりくつろいでしまいました。普段ご利用の方はどんな方が多いのですか?
北川さん:子どもさん、親御さん、子育ての終わった方など様々で、女性の方の利用が多いですね。この部屋を利用する場合もあれば、もう一つの部屋で集まって打ち合わせする事などもあります。
いえとみ:なるほど、近くのマンションの前で子どもたちが遊んでいるのを見て、あの子達も利用者なのかなぁと思いながら歩いてきました。ここにある本たちはどの様に集めたのですか?利用者の方から贈答いただいたとか?
北川さん:そうですね、活動が少しずつ口コミで広がっていく中で本を寄贈したいという人が徐々に増えてきてここまで集まりましたね。ただ、“不要になったからあげる本”というのはお断りしていて。物って想いが宿ると思うので、大切にしていたし想い入れもある、そして、誰かにも読んでもらえたら良いなと思われた物をお願いします、と申し入れがあった際は伝える様にしています。
いえとみ:確かにジャンルは色々ありながらも、有象無象さがなくて。きっと選書されてるんだろうなという印象を持ちました!北川さんが選書されているのかなと思ったのですが、そういう背景があったのですね。やはり北川さんは本がお好きで?
北川さん:いや、全然そんなことなくて。本もそんなに読みません。(笑)。
いえとみ:……え!?!?(笑)
北川さん:子どももすごく好きかと言われると……(笑)。子どもだから好き、っていう感じではありませんね。一人の個人として尊重しつつ接しますけどね。
いえとみ:ダブルの驚きです。(笑)では、なぜに子どもと若者の図書館という運営を……???
北川さん:本って、色んな物事をつなぐツールだと思っているんです。本は運営者の私が介入しなくても自然とあらゆる物を繋げてくれる存在で、結果人も繋いでくれることもあります。この本おすすめだよ、というところから人同士が繋がったり。本にはそういう効果があると思ったんです。
いえとみ:お聞きしてすごく納得しちゃいました。よく聞かれると思うのですが.、そもそもどうしてこの活動をやりはじめたのでしょうか?
北川さん:どうしてでしょうね……、私も分からないです(笑)でも納得しながらやってきた感覚があります。むしろやらない理由がないとも言えるというか。
いえとみ:なるほど、ぐるっと見学させてもらって空間を通じて感じた事が多々ありました。多様な人の困りごとやしんどい状況に、そっと寄り添う様なメッセージや情報や物が隙間にそっと静かに置かれてるのがとても印象的だったんです。
例えば、日本語に不安がある方向けの学習支援の団体のチラシや、若年層の妊娠リスクに関する新聞の掲示とか。図書館や本を入り口にしながらも、キヌイチがやっていることって実はもっと別の事なんじゃないかって感じがしました。人々の受け皿となったり、知らなかった情報を知るための接点づくりを後押ししたり。
北川さん:そうですね、人の選択肢を増やすことや、選択する際のハードルを下げることは意識をしているとは思います。
SOCIAL ENERGYで電力ブランドを立ち上げたのも同じことで、普段の生活を変化させたり新たに意思を持つ事って実は結構大変な事ですよね。誰もが社会貢献に対する強い意思と行動力を持っている訳ではないので、子どもと若者の図書館DENKIがあることで、ここに関心を寄せてくれた人が、ここに来なくても、時間を費やさなくても、日常生活を変えることなく無理なく関われる選択肢になると思ったんです。それって良い事だなと。
いえとみ:いや〜その通りですね。というか北川さんの言葉、腹の底からグッと来ました。確かに電気は基本的に誰でも使用している物だからこそ、広く多くの人にとって無理のない選択肢であり関われるツールになりますもんね。SOCIAL ENERGYが大切にしていきたい点を再認識させていただいた気がします。直接伺ってこの図書館を見てお話できて本当に良かったです!また遊びにこさせてください〜!!!
北川さん:今度はキヌイチの他の系列図書館も是非見に来てくださいね。
無理なく人同士が関わりあえる優しい仕組みが詰まった空間
12畳程のこじんまりとした私設図書館・衣笠駅徒歩1分図書館は、空間の大きさから想像できないほど、本の先に居る多様な人々を暖かく迎え包摂する私設図書館でもありました。この取り組みが広がり、今では同じ様な仕組みで運営する場所が全国に延べ13箇所もあるそうです。
やっていない日でも誰かの居場所になれる様にと本棚一つ分の漫画や本が廊下にも並んでいたり、自然と誰もが挨拶を習慣化できる、頭を下げないと入れない入り口など、デザイナーでもある北川さんが随所に取り入れる工夫の数々は、無理なく人同士が関わりあえる為の優しい仕組みでもありました。
「ローカルパートナー訪問記」は今後もSOCIAL ENERGYの中の人が運営者の元を訪れ、各ローカルパートナーの活動の手触り感をお届けしていきます。
子どもと若者の図書館DENKIの詳細はこちらのプロジェクトページをご覧ください。